教養区分のときの話をしようかな(中編・二次試験対策)
後編(6. 一日目 企画提案〜7. 二日目 人物・政策課題討議)についてはこちら
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4. 二次試験対策
4.1 概要
前編でも紹介した通り,以下の三つの試験によって構成されています。
- 企画提案試験:配点比率5/28。一言で言うと、「資料読解+小論文+プレゼン」。事前に課題白書が与えられ、試験当日に渡された他の資料と合わせて、与えられた政策課題への対処策を小論文にまとめ、面接官(2人)の前でプレゼンテーションを行います。
- 人物試験:配点比率6/28。いわゆる「面接」。当日に提出する「面接カード」に沿って、面接官(3人)による質問がなされ、それに対する回答を行います。
- 政策討議試験:配点比率4/28。「グルディス」といわれるようなもの。6人のグループで、ある政策命題に対して、是か非かを決め、20分でレジュメ(A4くらいだったかな?)を作成し、その後、他の人のレジュメを読みながら40分ほど討議します。
これらに加えて,一次試験時の総合論文試験(配点比率8/28と大きい)と,民間の英語試験の加点(配点比率外で、全ての試験の点数合計に直接加算)が合算されます。
- 総合論文試験:与えられた資料を読み、問題に対して自由記述をするというもの(試験自体は一次試験で行うものの、二次試験の一部として採点されます)。
- 英語試験の加点:TOEFL,TOEIC,IELTS,英検などの点数に応じて,総合得点に+15点ないし+25点が加算されます。個人的におすすめはTOEIC(値段が安く,+25点が最も取りやすい気がします!英検も準1級をもっていれば良いのでお得感あります)。
+15点 TOEFL(65以上80未満),TOEIC L&R(600以上730未満),IELTS(5.5以上6.5未満)
+25点 TOEFL(80点以上),TOEIC L&R(730点以上),IELTS(6.5以上),英検準1級以上
参考)人事院 「教養区分」受験案内 別紙 英語試験について
https://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/jyukennannnai/jyukennannnai_kyouyoukubunn.pdf
二次試験自体の倍率は2倍程度と言われているので、
落ち着いて、しっかり対策すれば突破は可能です!頑張っていきましょう!
4.2 総論
(一次試験で手を抜いていたわけではないが)一次試験と比べて,かなり力を注いだというのが正直なところです。
また,私の作戦プラン的なものを記したいと思います。
個々人の得意・不得意によって対策方法・優先順位が違うと思うのですが,私は,
「企:討:人」 = 「4:3:3」
の比重(時間ベース)で対策を行いました。その心は…以下の通りです。
- 企画提案は他に比べると,練れば練るほどよくなるらしい。
- 政策討議試験は配点比率は大きくはないものの実践を重ねないとなかなか上達しない。
- 消去法的に人物試験は配点の大きさほど力を注がなかった。しかし、面接カードの詰め(≒自己分析)や実践は怠らなかった。
では,以下の各項目で,実際に私がどのような対策をしたか記していきます!
4.3 企画提案試験
4.3.1 形式
事前に課題白書を指定され,それを読み込み,政策を考える。
令和元年度の教養区分では,「平成29年度 文部科学白書 第一部」が課題として与えられていますね。
白書については、印刷しても良いのですが、一覧性・持ち運びの良さから私は製本され販売されているものを利用していました。
(追記:令和2年度の企画提案試験の課題は、平成30年版厚生労働白書第1部「障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に」のようですね。)
(一応リンク貼っておきます。)
当日は,その課題白書からいくつかの資料が与えられ,2時間程度で問題・課題に対する政策提言を小論文にまとめます。
自分の番になると,待機室に呼ばれ自分の小論文を印刷したものを渡され,10分間の準備時間が与えられます。
その後,面接官(2名)のいる別室に呼ばれ,5分間でプレゼンテーションを行います。
最後に,面接官との質疑応答(20分)を行います。
個人的には,一番,行政官として必要な能力が鍛えられる試験だなという風に思います(政策企画能力,論理性,とくに説明性など)。
4.3.2 対策
まず,私は課題白書や関連文献を読み込みました。
私の時は,「平成二十九年度 経済財政白書 第一章」が指定されました。ので,当該白書を読み込み,関わりがありそうな省庁の説明会にも参加しました。
次に,問を立て,政策を練ります。ここでは主に,前編で記した論文試験と同じような対策法が有効なように思います。
(cf.「総論→目標→現状分析・課題→方策→打ち手評価・まとめ」の順番など)
私の年の場合は,「デフレを完全に脱却するには」「消費をあげるには」「賃金を上げるには」「生産性を向上させるには」…など抽象的な問いをいくつか立てて,政策を練るようにしていました。
同時に,考えた政策を「提案」する準備もしましょう。
前編の論文試験のところでも紹介しましたが、以下の参考書を(たまに)用いて準備していました。
公務員試験 論文・面接で問われる行政課題・政策論のポイント 2020年度
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単なる小論文試験ではなく,「質疑応答」にもかなりの重みを置かれる試験です。そのため,想定問答を予想したり,人前でプレゼンをすることに慣れたりするようにしました。
私の場合,主に友人(関係のない友人も含む,当日の面接官の一人はおそらく当該分野とかかわりが薄い方なので,当該政策分野を知らない人に説明する練習も有効)や,先輩などにお願いしました。
身の回りに頼りになる人がいなければ,大学のキャリアセンター・就職課等にもお世話になるとよいかもしれません。
4.4 人物試験
4.4.1 形式
事前に面接カードを作成する。
( ホームページからダウンロードし印刷,内容を記して指定枚数分印刷し,当日提出。)https://www2.jinji-shiken.go.jp/LinkJohoInitAct.do?kbn=1
当日,面接部屋に入ると、正面に面接官が3名(うち1人が人事院の方、2人が各省の採用担当の課長補佐級であるというのが通説)いらっしゃる。指示に従い着席し,面接が開始する。時間は人によってまちまちだが,1人あたり2,30分程度か。
主に面接カードに従って質問がなされます。
4.4.2 対策
一般的な就活の面接対策と同様,「自己分析→実践」を繰り返しました。これまでの自分のライフイベントを洗いつつ,面接練習を行いました。
自己分析に関しては巷に様々な方法が書かれていますが,標準的な問いに対して自分なりの答えを用意できているとよいでしょう
(例 学生時代にがんばったことはなにか,強み・弱みはなにか,どんな性格か, などなど)。
面接練習では,先輩やキャリアセンター・就職課の方(私の大学のキャリアセンターではそうした面接練習サービスがあった)に見てもらうだけでなく,
企業の秋インターンシップ面接等を活用し,とにかく面接慣れすることを心掛けました。
そのことによって,どのように伝えればわかりやすいか,どういう話を面接官は好むか等が少しわかるようになりました。
あくまで一例ですが,「なぜ公務員を志望しているのですか。」という問いに対して,
- 「わたしは,~~という学生団体で,~ということをして,~ということがありました。そこでわたしは~と思うようになりました。なので,公務員として~を実現したいと思いました」(思いついた順,時系列)
よりは
- 「~と思っているからです。背景の一つとして,所属していた~という学生団体での出来事がありました。具体的には~ということがあり、〜」(結論ファースト,抽象→具体の論理の順序)
の方が,聞き手に伝わりやすいですよね。(受験の現代文とか,小論文なんかとおなじです。)
この辺は,私より,ワンキャリアだったり外資就活だったりの就活サイトを参照されたほうが有意義だと思うので,この辺にしておきます。
4.4.3 当日の面接・質問等
全体としては,面接カードに概ね準拠した,典型的な面接でした。
参考までに,聞かれた質問をいくつか載せておきます。
ちなみに、私が受験した年の面接カードで聞かれた内容はプロフィールと志望官庁欄の他に、
- 学業について
- 社会的活動について
- 趣味・その他
- 志望動機
の4項目がありました。
4.4.3.1 学業について
面接カードのこの欄には、主に大学での勉学の話を書きました。
以下のような質問をされました。
- 第二外国語の〇〇語の語学研修をした、という風に書かれていますが、なぜそれをしようと思ったのですか。
- 専門分野で「〇〇」と書かれていますが、どのように、何を学ばれているかを簡単に教えてください。
4.4.3.2 社会的活動について
面接カードのこの欄には、主にサークル・学生団体等の内容を記しました。
以下のような質問をされました。
- 〇〇という学生団体は、どのような活動をしているのか教えてください。
- 〇〇という経験をされたと書かれていますが、どのような困難な点があり、どのように乗り越えられたのかを教えてください。
4.4.3.3 趣味・その他
面接カードのこの欄は他のものよりも自由度が高いものでした。私は、アルバイトの話を多めに記し、余った欄に趣味についても記しました。
以下のような質問をされました。
- あなたはどのようにストレス解消を行っていますか。
- カフェでアルバイトをされているということですが、どのようなことを担当されているのですか。
4.4.3.4 志望動機
面接カードの中でも、非常に重要な項目です。結構気合を入れて書きました!
欄の題名には志望動機と書いてあるのですが、その下に「これまでの体験や自分の長所などを踏まえ、国家公務員としてどのような貢献ができるのか、具体的に記入してください。」 と書いてあったので、
なので、私は、志望動機というよりは、いかに自分が国家公務員として貢献できるかを書きました。
構成としては、
「理想の公務員像(〜できる公務員)」
→「そのために必要だと思う資質・要件は①、②、③である。」
→「これまでの人生において、私は①、②、③の能力を養ってきた。」
(自分が①、②、③を有していることを示せるようなエピソードを、上の「学業」「社会的活動」「趣味・その他」に書くように意識しました。)
→「だから、私は行政官として〜という働きができる。」
という形をとりました。
このことによって、面接カードが各項目がバラバラなものではなく、一体的なものとなり、より説得感をだせたかな、と思っています。
以下のような質問をされました。
- 志望動機を教えてください。
- あなたの考える「理想の日本像」を簡単におしえてください。
4.4.3.5 その他の状況・感想等も記しておきます。
- 面接官は3人。右から,中年男性、中年女性、若手~中年男性であった。
- あまり意地悪な深堀りはされなかった。(反面、自分が用意していたものをすべて出し切ることはできなかった。ただし、ほかのところではかなり深堀りされたという人や、意地悪な質問をされたという人もいたので用意しすぎることはないとおもいます!)
- 終始単調な反応しか返ってこなかった。(笑)
冒頭にも書きましたが,
標準的な問いに対して自分なりの答えを用意し,「自己分析→実践」を繰り返す
のがキモだと思います!
あとは、4.4.3.4 志望動機のところで書いたように、各項目でアピールした内容を志望動機欄につながっているような「有機的な面接カード構成」ができると、賢そうだし、練られた感もあり、説得感も出ると思います!
4.5 政策課題討議試験
4.5.1 形式
当日,初めて与えられた資料(英文含む場合アリ)をもとに,「Aに賛成か反対か」「Bという立場か,Cという立場か」などの二者択一の問いに答え,白紙のA4程度の紙を自由に用い,レジュメを作成します(ここまでの作業に25分が与えられる)。
その後,6人1組となり,グループ全員のレジュメを印刷したものが配布され,各々自分のレジュメについて軽いプレゼンを行います(1人3分)。
その後グループディスカッションを行い,グループとしての意見を形成します(30分)。
最後に,一人ずつ,2分程度で見解・感想を述べます。
4.5.2 対策
4.5.2.1 概要
なによりも実践が非常に重要となる試験です。
ので,まずは実践を一緒にしてくれる人を探しましょう。
主に,予備校や,大学内で教養区分を受験する人同士で対策会を行うケースが多いようです。過去問を題材にグループディスカッションするのが有効かと思います。
私は,同じ大学の友人や,夏の官庁インターンで知り合った友人に紹介され,他大学の人たちと対策を行いました(同じ大学に教養区分受験者が少ない場合は,人脈をフル活用するのが良いかと思います!)。
(追記:今般の情勢を踏まえると、一案ですが、レジュメ作成→スキャン→クラウド(ドライブ?)での共有→ZOOM等のウェブ会議アプリを用いた討議 など、の対策法が考えられるなと思いました。)
4.5.2.2 レジュメ作成
資料読み込み→レジュメ作成は、時間がないので練習しましょう!
以下の点に注意すると、見やすいレジュメになると思います。
- 結論ファースト:最初に立場を明らかにするとわかりやすいです。
- 項目ごとに分けて書く:下の例では、結論→現状分析・目標→方策→懸念点・課題という順序で書かれています。)
- 箇条書き:レジュメはパッと見てわかるかどうかが重要なので、長い文章より箇条書きが有効です。
以下は、実際の例なので、参考にしてみてください!
あくまで一例なので、よりよいレジュメの書き方が思いついた方はそれでやってみてくださいね!
4.5.2.3 進行論
4.5.2.4 一人で出来る対策
一方で,一人で出来る対策もあります。
(レジュメ作成をする体験はできませんが,)人物試験と同様に民間のインターンシップ選考・本選考で「グループディスカッション」があるものを積極的に受けました。
また,どうしても周りに人がいない場合でも,「レジュメ作成のみの練習」に関しては,過去問を手に入れれば可能です。
時間内に資料を読み,レジュメを作るのは練習をすればするほど上達するので,GDなしの単体の練習だけでもかなり対策として有用だと思います(私も何度かやりました)。
5. 対策編のおわりに
一通り,私のした対策等についてお話できたかと思います,いかがだったでしょうか。
個人的には教養区分(esp. 二次試験)は行政官として重要なスキルを見極められる良い試験なんじゃないかなと思っています(一方,一人で対策が難しいため,海外大生や志望者が少ない国内大学生がやや不利になる点はあるかなとも思います)。
(追記:今般の情勢を踏まえると、xKASUMIなどの情報源の誕生、ZOOM等の利用により、より対策方が開かれたものになりつつあるとも実感しています。)
対策をするだけでも,政策形成についての知識が深まりますし,受験される方はぜひ「楽しんで」対策をしていただければと思います!
また,教養区分に合格すると,(大学4年生・既卒生は直後の冬の官庁訪問をすることもできますが,)夏の官庁訪問までかなり時間的余裕が出来ます。私は,教養区分に受かることが出来たおかげで,かなり民間就活にも力を注げたので,ぜひ頑張ってください!
仮に合格できなかったとしても,春の専門区分もありますし,「気負わず,全力で」望んでくださいね!
何か質問事,不明な点などあればコメントしていただければ,出来る限りお答えします。
nageoroshiでした。
↓当日の様子について、別途書いた方が良いんじゃないかとなったので、さらに後編を書いております!
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